2026.9.10

デザイン担当者がいない会社の依頼術

デザイン担当者がいない会社

「デザインが必要なのはわかっているけれど、社内に詳しい人がいない」——そんな悩みを抱えている企業は、実はとても多いです。専任のデザイナーがいないと、何から手をつければいいのか、誰に相談すればいいのか、判断に迷ってしまうことがよくあります。

特に中小企業では、経理や総務の担当者がデザインの窓口を兼任していることも珍しくありません。本来の業務と並行してデザインの依頼を進めなければならず、負担に感じている方も多いのではないでしょうか。

社内にデザインの知識を持つ人がいないと、そもそも「デザイン会社に何を伝えればいいのか」がわからない、という壁にぶつかりがちです。ロゴだけお願いすればいいのか、それともWebサイトやパンフレットまで含めて考えるべきなのか。専門用語も多く、打ち合わせの中で出てくる言葉の意味がつかめないまま、なんとなく話を進めてしまうこともあるかもしれません。

こうした状態のまま依頼を進めてしまうと、出来上がったものが「思っていたものと違う」となってしまったり、後から追加の依頼が発生して費用がかさんでしまったりすることもあります。さらに厄介なのは、何が問題だったのかを振り返ろうとしても、そもそも判断基準がないため、次に活かしにくいという点です。同じような行き違いを、何度も繰り返してしまう企業も少なくありません。

まずは「伝えたいこと」を言葉にしてみる

社内にデザインの専門知識がなくても、進め方を工夫することで、こうしたすれ違いはかなり防ぐことができます。まず大切なのは、デザインの技術的な話をする前に、「自社が何を伝えたいのか」「お客様にどう感じてほしいのか」を、社内の言葉で整理しておくことです。

たとえば「若い世代にも親しみを持ってもらいたい」「信頼感のある落ち着いた印象にしたい」といった、感覚的な言葉で構いません。この段階での言語化がしっかりできていると、デザイン会社との打ち合わせもスムーズに進みますし、相手からも的確な提案を引き出しやすくなります。

あわせて、参考にしたいイメージを普段から集めておくのもおすすめです。同業他社のWebサイトでも、まったく異なる業種の広告でも構いません。「これは好き」「これは違う」と感じたものをいくつか手元に置いておくだけで、いざ打ち合わせをする際に、言葉だけでは伝えきれない感覚を補うことができます。

デザイン会社を「翻訳者」として頼る

専任のデザイナーがいない場合、社内の人間がすべてを理解しようとする必要はありません。むしろ、専門知識がない状態を前提に、丁寧にヒアリングをしてくれる会社を選ぶことのほうが重要です。

良いデザイン会社は、専門用語を並べるのではなく、こちらの状況や言葉に合わせて、選択肢や理由をわかりやすく説明してくれます。いわば「翻訳者」のような役割を担ってくれる存在です。そうした会社であれば、社内に専門知識がなくても、安心してプロジェクトを任せることができます。

信頼できるかどうかを見極めるポイント

デザイン会社を選ぶ際、専門知識がないとどうしても実績や価格だけで判断してしまいがちです。しかし、実際に長く付き合っていく上で大切なのは、初回の打ち合わせでの対応の仕方だったりします。

こちらの説明がまだ曖昧な段階で、質問を重ねながら意図を引き出そうとしてくれるか。専門用語を使ったときに、噛み砕いて説明し直してくれるか。逆に「とりあえず作ってみますね」とすぐに制作へ進もうとする会社は、後になって認識のズレが表面化しやすい傾向があります。最初のやり取りの中に、その会社が今後どう向き合ってくれるかのヒントが詰まっています。

小さく試しながら、判断軸を育てていく

いきなり大きなリニューアルに取り組むのではなく、まずは名刺やチラシなど、小さな範囲からデザインを依頼してみるのもひとつの方法です。小さなプロジェクトを通じて、デザイン会社とのやり取りに慣れていくと、社内にも少しずつ「良いデザインとは何か」を判断する感覚が育っていきます。

この感覚は、次にもっと大きなプロジェクトに取り組むときの、大切な土台になります。専任のデザイナーがいなくても、信頼できるパートナーと、経験を積み重ねながら進めていくことで、デザインは十分に事業の力になってくれます。

社内に専門知識がないことは、決して弱みではありません。むしろ、どんなパートナーを選び、どう関わっていくかという工夫次第で、デザインとの向き合い方は大きく変わっていくはずです。

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