2017.8.31

デザイナーにとって自分の作品とは?

私には自分の作品というものがほとんど無い。
もちろんデザインしたモノは今までに何千にもなるだろうと思うけれど、それらは皆クライアントがいて、その人たちの満足を得るために考えたものばかりだ。何の必要性もなく、誰に頼まれたわけでもなく、好き勝手に自分の思うがままのつくりたいものをつくるというようなことがほとんど無い。
他のデザイナーの中には、仕事の合間に自分の作品を造りためて、たまにグループ展やイベントで公に発表しているものもいるが、私にはそういう経験はほとんど無い。

たまに観光地などで陶芸や絵付けといったものをやってみたりもするが、そんなものはおちゃらけ程度のものだし、本業とは直接関係もないので作品というにはほど遠い。35年近くもこの商売をやってきたというのに自分の作品というものが全くないということに最近ようやく気づいたので、そろそろそういうものをつくってみようかと思う。

じゃあ、デザインというカテゴリーの中で自分の作品といっても、いったい何をつくるのか・・・・。
いろいろ考えてみた。

そこで思いついたのが「リトルプレス」とか「ZINE」とかいわれているやつだ。少々ブームは去った感もあるが、これなら今回の30周年企画にも丁度いい。いままで自分の中に溜め込んできたアイデアやイラスト、写真、文章などすべての要素を詰め込んだ楽しい本を作ってみようと思う。

完全に自己満足でいい。誰かに売るために考えるわけではないし、文句を言われる筋合いもない。

なかなか楽しそうだ。なかなか楽しめそうだ。

作品というものは本来そうでないといけない。楽しみながら自分の世界を構築し、ひとつのものを作り上げてゆく。
まずはひとつ、30周年の記念本を好き放題に作ってみよう。
それがいい。

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