2025.9.27

靴を磨こう

靴磨き
ピカピカに磨いたサドルシューズ

「靴を磨く」というのは、単なる靴の手入れにとどまらず、暮らしや仕事のテンションを高める貴重な習慣です。
第一に、靴磨きは靴そのものの寿命を大きく伸ばします。革靴は定期的に栄養を与え、汚れを落とし、乾燥やひび割れを防ぐことで長く愛用することが可能になります。価格の高い靴はもちろん、普段使いの一足であっても、丁寧にケアを続けることで見違えるように美しさを保つことができ、結果として経済的にも合理的です。

第二に、いつもピカピカの靴を履くことで、自然と自分の気持ちが整います。朝、出かける前に鏡に映る輝く靴を目にすれば、不思議と背筋が伸び、一日の始まりに清々しい気分をもたらしてくれます。逆に、曇った靴や埃まみれの靴を履いていると、それだけで気持ちが乱れたり、印象が損なわれたりします。日々の小さな積み重ねが、心の在り方や行動にまで影響を及ぼすのです。

さらに、靴が常に磨かれていると、周囲から「おしゃれな人」「きちんとした人」という印象を持たれるのも大きなメリットです。特にデザイナーやクリエイターといった職業にとっては、自分の身なりが自己表現の一部であり、評価に直結します。若い頃以上に、年齢を重ねた時こそ清潔感のある装いが重要です。服装にこだわるのと同様、足元の輝きは人の信頼や好感度を左右する要素といえるでしょう。

こうした効果を得るためには、正しい道具を揃えておくことが欠かせません。基本的には黒と茶色、二種類の革靴に対応できるセットを用意しておけばいいでしょう。中でも大切なのが靴クリームとブラシの選び方です。

靴磨き
私の靴磨き道具

靴クリームには主に「乳化性クリーム」と「油性クリーム」の二種類があります。乳化性クリームは水分と油分をバランス良く含み、革に潤いと栄養を与え、乾燥やひび割れを防ぐ効果があります。色付きのものを使えば色あせた部分を補色でき、自然な艶を出すことも可能です。油性クリームはワックスとも呼ばれ、強い光沢を出すことに優れており、防水性や防汚効果も期待できます。ただし、油分が多いため塗りすぎると革が呼吸できずに硬くなってしまうため、薄く控えめに使うのがコツです。用途によって両者を使い分けることで、革の健康と美しい見た目を両立できます。

ブラシも用途ごとに種類を揃えると仕上がりが格段に変わります。ホコリ落としには馬毛ブラシが最適です。毛が柔らかく、日常の汚れをさっと落とすのに役立ちます。クリームを塗った後には豚毛ブラシを使います。毛が硬いため、クリームをしっかりと革に馴染ませ、均一に広げることができます。さらに仕上げ用には山羊毛ブラシや布クロスを用いると、表面の余分なクリームを取り除きながら美しい光沢を引き出せます。ブラシは使う部位に応じて大きさや形を変えると便利です。

このように靴クリームやブラシを正しく選び、工程を丁寧に踏むことで、磨き上げた靴は見違えるほど輝きを放ちます。

また、靴磨きは単なる作業ではなく、心を落ち着ける時間にもなります。
お気に入りの音楽を流し、机の上に道具を並べ、グラスにバーボンを注ぎながら、ゆっくりと靴を磨く。そのひとときは、日常の喧騒から切り離された至福の時間です。無心で革を磨き、光沢が増していく様子を眺めると、不思議と心まで晴れやかになります。

靴を大切に扱い、手をかけることは、自分自身の生き方を大切にすることでもあります。長持ちさせる実用的な効果に加え、気持ちを整え、周囲からの印象を高め、さらには自分だけの豊かな時間をつくることができる。靴磨きとは、日常を上質に変える小さな習慣なのです。

靴磨き
いちばんお気に入りのウイングチップ

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