2018.9.30

デザインは東京一極集中

東京一極集中

ここ10年、いやもっと前からかもしれないが、デザインというビジネスでは東京の一極集中があまりにも顕著で、地方のデザインというものが「東京以外の地域のデザイン」という枠組みで語られるようになった気がしている。

東京以外のデザインというと「和風デザインの京都」「クラフト(伝統工芸も含め)の北陸」など限られたジャンルでの取り上げ方がほとんどであり、グラフィックデザインやプロダクトデザインの世界ではほとんどの情報が東京発信となっている。

東京以外の各地でも様々なデザインイベントが行政や民間の手によって開催されたりしているが、それとて地方の話題の域を出ない。

もちろん東京には様々なメディアが集中しているし、ビジネスの規模も地方の比ではないから、デザインの中心がそこにあっても何ら不思議なことではないが、あまりにもその傾向が強すぎる気がしている。

大きなクライアントの仕事が抱負にあることで、そういった仕事に対する意識が希薄になり、地方では決してあり得ないような大きな仕事を経験値の低いデザイナーが担当したりすることが当たり前になっているし、(東京オリンピックのエンブレム問題で明るみに出たサントリーなどの案件をあまりにも経験値の低いデザイナーに平気で担当させた結果盗用問題が起こったことなど)デザインの質よりも人脈やエージェントの営業力によるところがあまりにも大きく、デザインの質による競争原理がゆがんでいる場合も多い。

東京のデザイナーの能力は?

では、東京のデザイナーがその一極集中の現状に見合った実力を備えているのだろうか?

私は決してそうは思わない。

もちろん競争原理の中で切磋琢磨され、優れたデザイナーが育っていく環境があるのも事実であるし、何より絶対数が圧倒的に多いのだから、優れた人材が登場する確立も地方に比べれば高い。
大きなクライアントが集中することで優れた人材が集まるというのもわかる。

ただ、実際に世の中で目にするいわゆる東京デザインがそこまで優れたものであるという認識は私には持てない。

大きなクライアントの仕事が抱負にあることで、そういった仕事に対する意識が希薄になり、地方では決してあり得ないような大きな仕事を経験値の低いデザイナーが担当したりすることが当たり前になっているし、(東京オリンピックのエンブレム問題で明るみに出たサントリーなどの案件をあまりにも経験値の低いデザイナーに平気で担当させた結果盗用問題が起こったことなど)デザインの質よりも人脈やエージェントの営業力によるところがあまりにも大きく、デザインの質による競争原理がゆがんでいる場合も多い。

地方からの声は届かない

かといって地方のデザイナーがこのまま指をくわえて東京の仕事をうらやましがっていても何も起こらない。地方のデザイナーは地方でビジネスを展開していく以上は何か方法を考えなければ、タダの愚痴で終わってしまうことになる。

しかし、現状では少々地方でデザインイベント等のムーブメントを起こしても、バックボーンがあまりにも違いすぎるので、どこまで行っても「地方のイベント」感がぬぐえない。東京の大きなビジネスの海に飲まれてしまうだけだ。

しかも「地方」であること自体がをテーマになるようなデザインの流行まで起こされてしまっては余計に太刀打ちできない。「地方にもこんなに良いものがあるよ・・・」的な視点がそれを物語っているし、それに対して違和感を持たないようになっていることも問題だ。
現に美術界や工芸界にはマーケットとして東京の存在感はあるが、作品の質自体が東京優位という考え方は全くないし、優れた作家が東京に集まっているということもない。

もうそろそろ手を打つ時がきた

ただ、こんな愚痴ばかりを言っていても何も起こらない。
では地方のデザイナーはどうすれば良いか・・・・。

「所詮東京には大きなクライアントがたくさんあるから、たいした仕事をしていなくても良い仕事があるだろうし、地方にだって東京に負けない優れたデザイナーもいる・・・・」なんていうのはタダの負け惜しみでしかない。そんな声は彼らには全く届いていないし、届いていたとしても耳も貸してくれない。

ではどうすれば・・・・・

その答えをずっと探していたが、ようやく自分の中で答えが出た。
その答えを自分で正解だと信じて今年は大きく前へ踏み出そうと思う。
その方法はある意味東京優位を逆手に取っているのかもしれないし、地方のデザイン会社だからこそできる方法かもしれない。

きっとこれは私のデザイナー人生の中で最も大きな挑戦かもしれないし、独立したことよりもずっと大変なことかもしれない。
ただ、30年以上京都でやってきたという自信とくすぶり続けていた東京に対する思いを一気にぶちまけようと思う。

その方法は追々このブログにも書かせていただくが、(有言実行のタイプなので)偉そうにいっても、私の小さな力でははじき飛ばされてしまうかもしれない。
そうならないためにもスタッフや皆さんの力を是非ともお借りしたいし、私自身に叱咤激励もお願いしたい。

2年後、コイズミデザインファクトリーがどんな風になっているか、苦労もたくさんあるだろうが、自分でもわくわくするくらい楽しみだ。

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