色違いを買うクセ

私は、気に入った鞄や靴、服に出会うと、つい色違いまで手を伸ばしてしまう。
最初は「今回はこの色だけ」と思っている。だが、実際に使い始めると、そのアイテムの良さがじわじわとわかってきて、「この形なら、あの服にも合うな」「この靴、別の色だったら仕事でも使いやすいな」と、頭の中でコーディネートの想像が膨らみ始める。
気に入ったアイテムを軸にして、いろいろな服装を楽しもうとすると、どうしても色のバリエーションが欲しくなる。
黒は引き締まって見えるけれど、茶色なら少し柔らかい印象になる。ネイビーは万能だけれど、生成りだと季節感が出る。同じ形、同じ素材でも、色が変わるだけで役割がまったく違ってくる。その違いが面白くて、「これは別物だから」と自分に言い訳をしながら、気づけば色違いが並んでいる。
不思議なもので、形が気に入っていると、色違いを持つこと自体に安心感が生まれる。サイズ感も使い勝手もわかっているから、失敗が少ない。新しいものを試す冒険より、気に入った型の色違いを選ぶほうが、ずっと堅実にも思える。合理的な選択をしているつもりなのに、結果として物は増えていく。
もちろん、その分お金はかかる。
冷静に考えれば、同じ形の鞄が何個も必要なわけではないし、靴も一足で足りる場面は多い。それでも「これがあればコーディネートの幅が広がる」「長く使うから無駄ではない」と、自分なりの理屈を積み重ねてしまう。
ただ、振り返ってみると、色違いで買ったアイテムほど、出番が多いのも事実だ。迷わず手に取れる安心感があり、服装を考える時間も短くなる。結果的に、クローゼットの中で眠っているのは、挑戦しすぎた一着よりも、気分で選んだ単発のアイテムだったりする。
色違いを買ってしまう癖は、おそらくこれからも直らない。
それでも、自分が何を「気に入る」のかを理解しているという点では、悪くない習慣なのかもしれない。財布と相談しながら、今日もまた「この色もいいな」と、心の中で静かな葛藤を繰り返している。





