細田守の原点展に行ってきました

少し前に、『時をかける少女』20周年記念 細田守の原点展に行ってきました。同作が公開されてから20年が経った今も、多くの人に愛され続けているというのは本当にすごいことだと思います。
アニメを特段好きではない人にも長年観られ続ける作品というのは、ジブリ作品なども含めそう多くはありません。実際、この細田守の原点展も多くの来場者で賑わっていました。
私は『サマーウォーズ』が大好きで、夏になると毎年のように観ています。テレビで放送されることも多く、観たことがある人も多いのではないでしょうか。
今回の細田守の原点展は『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』が主にメインで、細田守監督の学生時代の作品なども多く展示されておりました。制作時の絵コンテや設定資料なども多く展示されており、改めて細田守監督の作品づくりへのこだわりを感じることができました。



『時をかける少女』コーナー
最初のコーナーは『時をかける少女』で、全ての絵コンテが飾られていました。その数は想像以上に膨大で、一枚一枚をじっくり見ていくと、あっという間に時間が過ぎてしまうほどでした。特に印象に残ったのは、細田監督ならではの汗の描写や走り方の表現です。何気ない仕草の一つ一つにも細かい指示や工夫が書き込まれており、キャラクターが生き生きと動く理由が伝わってくるようでした。普段アニメーションを何気なく観ている時には気づかない、制作の裏側にあるこだわりを間近で感じられたのは、とても貴重な体験でした。
私は原画を見るのが好きで、アニメーションを観た後に原画を見ると、実際の動き方がはっきりと分かり、とても心が躍ります。線の一本一本に命が吹き込まれていく過程を想像しながら見ると、完成した映像とはまた違った感動があります。
ただ単純に、好きな作品がこうして大きく展示されているというだけでも胸が高鳴り、目を輝かせながら会場の空気や雰囲気を味わっていました。周りを見渡すと、私と同じように食い入るように絵コンテを見つめる人や、懐かしそうに展示を眺める人など、それぞれの形でこの作品への愛を感じているのが伝わってきて、なんだか嬉しい気持ちになりました。



『サマーウォーズ』コーナー
次のコーナーは『サマーウォーズ』で、入った瞬間からOZの世界に入り込んだような世界観が広がっており、先ほどのコーナーとはまた違った雰囲気を味わうことができました。ここでも多くの原画が飾られており、キャラクターのイメージラフを見られたのがとても嬉しかったです。ラフの段階から、キャラクターたちの表情や仕草に既に個性が宿っているのが感じられ、完成形に至るまでの過程を垣間見ることができました。
また、脚本家の奥寺佐渡子さんによる構成案の展示もあり、物語がどのように組み立てられていったのかが伝わってくる内容に、思わず興奮してしまいました。映像作品としての面白さだけでなく、その裏にある構成の緻密さに触れられたのは貴重な体験でした。
この作品にはいくつもの名場面がありますが、その一つひとつのシーンを原画で見られたのも大きな喜びでした。映像で観ていた時の記憶が原画と重なり合い、あのシーンがこうして描かれていたのかと、答え合わせをしているような感覚を味わえました。
改めて感じたのは、『サマーウォーズ』が公開されたのはまだインターネットがここまで普及していなかった時期にもかかわらず、OZという仮想世界の近未来感が驚くほど説得力を持って描かれているということです。決して派手すぎない、シンプルな線と構成でその世界観が表現されているからこそ、時代を経た今観ても古さを感じさせないのだと思います。展示された原画からも、その緻密な設計が伝わってきました。
さらに会場には、リアルなサイズの大きなフィギュアも展示されており、キャラクターが目の前に実在しているかのような迫力に圧倒されました。その存在感を肌で感じることができました。
なかでも特に嬉しかったのは、物語の最後、主人公が奮闘するシーンの原画を大きなサイズで見られたことです。あの名場面が目の前に広がっている感覚は、このコーナーの締めくくりにふさわしい体験でした。
『おおかみこどもの雨と雪』のコーナーへ向かう前に、細田守監督の自主制作時代や、監督デビュー前の作品が並んだエリアがありました。学生時代に描かれたという作品も展示されていて、その完成度の高さには圧倒されました。すでにこの頃から、後の作品につながる表現の片鱗が感じられ、才能の原点を見ているようでした。
また、細田監督の経歴が年表のような形で詳しく紹介されており、どのような道のりを経て今の作品づくりに至ったのかが、順を追って理解できるようになっていました。なお、このエリアは一部撮影不可となっていたため、写真は撮っていません。

『おおかみこどもの雨と雪』コーナー
最後のコーナーは『おおかみこどもの雨と雪』でした。ここでは印象的な場面のパネルがいくつも展示されており、「ここ懐かしいな」と思いながら、一つ一つのシーンをじっくりと見て回りました。
個人的に、細田守監督の作品といえば夏の描写が印象に残っているものが多いのですが、この作品では対照的に雪の描写が多く用いられています。線画の段階から、雲の白さとは違う、雪ならではの白さがしっかりと表現されているのが伝わってきて、細田監督の描写力の幅広さを改めて感じることができました。
今まで原画展などの展示には何度か訪れたことがありますが、ここまで多くの原画が飾られていたのは初めてでした。そして、1つの作品を作り上げるまでにどれほどの時間と労力がかかっているのかを、改めて視覚的に感じることができました。ここから着色や音などが加えられていき、ようやく1本のアニメ映画として完成する。その過程を思うと、これまで以上に作品への見方が深まった気がします。
細田守の原点展は、細田守監督の作品が好きな方はもちろん、まだあまり観たことがないという方にも、ぜひ足を運んでほしい展示会でした。
展示を見終えた後は、無性にまた作品を見返したくなり、家に帰ってさっそく観返してしまいました。



