2021.8.12

筆でイラストを描く

流鏑馬

コイズミデザインファクトリーでは筆を使ってイラストを描くことがよくあります。最近ではデザイン会社で筆のイラストを描くところは非常に少なく、そもそも事務所に筆も絵の具もないというところがほとんどです。

毛蟹

ただ、昔と違い、筆で書きながらもデジタルの恩恵をうまく利用し、効率を上げたり、今まであまりできなかった表現を取り入れたりするようになりました。

一番上の流鏑馬の絵では、まず筆と墨で黒の線画を描きます。ここまではフルアナログです。かすれ具合やぼけ具合は紙や筆の選択で微妙に差が出ます。

そしてその絵をスキャンし、Photoshopで着色します。ここからはデジタルなので色を変えたり、ぼかし具合を調節したり、思い切ってモノクロにして水墨風にしたり、試行錯誤を経て完成させます。このときは授与品のカタログ用に書いたので、木版画風の着色にしました。

二番目の毛蟹は、流鏑馬と同じように黒い線画を描きますが、そのあとの工程が違います。薄墨の部分を別の紙にぼかしながら書いたものをまたスキャンし、そこに最初に描いた線画を合成します。するとあたかも普通に描いた水墨画のように濃淡が表現され、いわれなければ別々に書いたものを合成したようには見えません。この方法なら薄墨の濃さを変えたり、ぼかし具合を調節することも可能です。何より一発勝負の水墨画が失敗しても部分的にやり直せるようになります。

暑中見舞い

3つめの絵は版画風に見せるために水色と赤をずらしながら紙の質感を透けさせています。以前なら実際にこのような紙に色数分の版をつくり、刷り上げていかなければなりませんでしたが、手で書いた線画以降の作業をデジタル化することで、効率も精度も格段に上がりました。

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