2019.9.17

MUD_vol.3 日本のユニバーサルデザイン<東京オリンピック編>

東京タワー
オリンピック開催の6年前、1958年竣工の東京タワー

日本のユニバーサルデザインの発展にとって
スタート地点と言っても良い大きな出来事…
それは1964年に開催された「東京オリンピック」です!

競技場イメージ
たくさんの競技が同時に行われるオリンピックでは、観客の適切な誘導が大切

世界初!競技や設備のピクトグラムを導入

日本の戦後復興と経済成長を国内外に示す絶好の機会として
デザインの分野でも総力を結集して開催された東京オリンピック。
建築された施設・設備はもちろん、
ロゴマークやポスターなどのグラフィック、
メダルや聖火トーチなどのアイテムは数えきれず
デザインの力を発揮する場面がたくさんありました。

そんな中、開催まで半年足らずという時期に、
世界中から訪れるであろう外国人観光客の誘導のために
施設や競技の「ピクトグラム」の作成が発案されました。

「ピクトグラムってなに?」という方も
非常口やトイレ、信号機などの人型のマーク、というと思い浮かぶでしょうか。

当時若手デザイナーだった横尾忠則氏や福田繁雄氏を含む11人のデザイナーが
手分けして競技種目と施設設備のピクトグラムを作成し、
日本人にも外国人にも分かりやすい大会運営に大きく貢献したのです。

そして、1964年の東京オリンピック以降の大会では
競技のピクトグラムが各国で作り続けられています。

トイレのピクトグラム
トイレのピクトグラムがあれば、どこにどんなトイレがあるのかひと目で分かる

著作権の放棄で世界の財産に

ピクトグラムの「誰にでもひと目でわかる」という力が
広く知られ、活用されるきっかけとなった東京オリンピック。
オリンピックのために作られたピクトグラムは
「社会に還元」という高い志によって著作権を放棄され、
世界中で活用されることになりました。

もし、1964年の東京オリンピックで設備に
ピクトグラムが使われていなかったら…
今のトイレのマークは無かったかもしれないのです!

次回は、東京オリンピックから6年後、1970年の日本のお話。
「日本のユニバーサルデザイン<大阪万博編>」
をお届けします。

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