2021.12.29

2021年を終えて

コイズミデザインファクトリーの猫

私も独立35年目に入り、事務所自体も京都のデザイン会社としては老舗の部類に入ってきました。
私は若かった頃、時代の流れに乗りきれず消えていったデザイン会社やデザイナーを沢山見てきました。
自分はそうなりたくないという思いから、少しでもデザインとしてのビジネストレンドを取り入れてきたつもりですが、時代の潮流は私の想像を遙かに超える速さで進み、さらにコロナや災害、経済の動揺など自分の力ではどうにもできない逆流が襲ってきます。
その上、働き方改革や就労規則等スタッフの労働条件改善に向けた動きの拡大などデザイン会社経営は年々難しい状況になっています。

その影響か、デザイナーは一定規模の事務所や会社を作るより、フリーランスでフレキシブルに働く方法を選ぶことが多くなっています。

ただ、デザインという仕事を一生の仕事として考えたとき、そこには大きな危うさが潜んでいることも
気づかなければなりません。人間1人でできることには限界があるということを気づくときが必ずやってきます。
経験のない間にそこまでのことを考える余裕などないと思いますが、
デザインという仕事で長年生きていきたいのであれば、そこから目をそらすことなく、向き合い、乗り越えていく必要があります。

2022年、まだまだコロナの影響が残っている中でのスタートとなりますが、先行きのことがわからないのは今回に限ったことではありません。1年先、2年先、5年先がどんな世の中になっているかなど誰にもわからないのですから、その時代、その時流にどれだけ即応できるかが大きなポイントです。
そしてそれ以上に5年先、10年先に自分がどんなデザイナーでありたいかを考え、頭に描いているかが重要です。
自分がどうなっていたいかを思い描きながら、時流の変化に即応する、そんなバランスが大切です。

コイズミデザインファクトリーにも20代や30代の若いデザイナーが何人もいます。彼女らの人生はもちろん彼女ら自身が考えることですが、デザイナーという職業を選びコイズミデザインファクトリーを選んでくれた以上その道筋が見えるようにしてやることも私の責任であるし、それこそが先輩デザイナーたちがなしえなかったデザイナーの地位向上を実現する1歩ではないかと思っています。

私は来年59歳になります。再来年にはとうとう還暦です。
かねてから90歳現役デザイナーを目標に掲げている私ですが、年々体力の低下や気力の弱体化が襲ってきているのも確かです。そんな自分の変化を率直に認めつつも、反発することを忘れずにあと30年のデザイナー人生を全うしたいと思います。

人生を折れ線グラフにしたときに、たとえ上昇の角度が緩やかになっていたとしても一番最高点で人生を終わることが私の夢なので「走り続けて、倒れた場所が死ぬ場所」、そんなイメージで2022年を迎えます。

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