2019.9.1

展示会やデザイン・アワードについて思うこと

様々な業界で展示会やアワードなど自分たちの業務を人に見てもらい、ビジネスにつなげるという催しが盛んに行われています。
ビジネスはじっと待っているだけでは無理だということは皆わかっているので、少しでもそういう機会を利用して活性化を目指しているわけですが、必ずしもそういう展示会やアワードといった催しがビジネスを成功に導くとは限っていません。特に中小企業や個人事業主などは、時間とお金の無駄に終わったという意見を聞くことも多く、せっかくの機会を活かせていない現状が見えてきます。

せっかくいろいろと知恵を絞って挑んだのに、それほど反響がなかったり、ビジネスに反映されることがなかったというお話をよく聞きますが、それにはひとつ大きな理由があると、私は思っています。

ではなぜ、そういうことになってしまうのでしょう・・・・。

展示会やアワードには、大がかりなものや小規模なもの、公的なものや私的なものなど様々な形態がありますが、大きく分けると次の2つに分かれると思います。

●お金を払ってブースを借り、様々なイベントや講演会などを絡め、イベントとしての色合いが強いもの(展示会業者などが主催)
(ある程度の参加費(数十万)が必要で、さらに自社の展示内容や販促物によってまとまった費用が必要となる(数百万になることも))

●公的な機関や銀行などが、ある業種や団体を支援するために行うもの(行政や組合などが主催や後援)
(比較的安価な参加費の場合が多く、行政が行うものなどは無料の場合もある)

そしてこれらはそれぞれ主催者側の思惑も異っています。

さらに、ここで大事なことは、そこへ参加する側と主催する側、それぞれの思惑が存在しているということです。

まず展示会業者などの場合
こういった業者は、その展示会やアワード自体が盛況で、たくさんの人が集まるということが最大の目的です。ブースがすべて埋まり、イベントに人がたくさん集まれば、その時点でビジネスとして成功したことになりますから、ひたすら募集活動を行いブースや参加企業を集めます。

次に行政など公的な団体の場合
彼らはその展示会や催しに予算を付け、実際に行われ、人が集まったという事実が最も重要なのです。行政としてやるべきことをちゃんとやったということが、彼らの最も目指すところです。

では、その展示会やアワードに出展する当事者はどうでしょう。
こちらはなけなしの販促費や時間を費やして準備をし、そこでの集客に力を入れるのは、その展示会後のビジネスに何らかの跳ね返りを求めるからです。その展示会がおわってからが重要であり、その展示会当日にいくら人が集まっても、その後何も起こらなければ、それは無駄な労力だったということになるのです。

このように3者の目指すところがそれぞれ違うわけですから、そういう催し自体がWINWINで成功することはなかなか容易ではありません。

ただ、何も行動を起こさないよりは、たとえそういう手段であってもやらないよりはましなのですが、その際にこの3者の立場が違っているということをよく理解しておくことも大事です。
そうでないと、大金を使い、時間を費やしたことが無駄に思えるだけでなく、様々な販促活動自体のテンションを下げることになってしまいます。

展示会に出展を考えるのであればこの思惑の違いを理解した上で、展示会後に効果が現れる方法を熟考し、十分な対策を講じた上でのぞむことが大切です。
展示会の現場で得た様々な情報を展示会の終了後に十分整理分析し、そのデータをどう活用すべきかをあらかじめ想定しておくことが必要です。単に集めた名刺を整理するだけでなく、現場の他の出展者の情報や同業者の動向も分析し、自社でその後行う販促活動の方向性を再考したり、見学者の反応を正確に偏ることなくキャッチすることが重要です。

いずれにしても、出店費用が安く付くからとか補助金が出るからというだけで展示会やアワードに出店することは考えなをすべきではないでしょうか。

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