2019.3.18

デザインの勉強と書籍

デザインは「目」と「耳」で学ぶ

デザインの勉強をするというのはどういうことでしょう。
毎年インターンに来る学生たちからも良く聞かれる質問です。
そういうときに私はデザインは「目」と「手」学べと言います。

「手で学ぶ」はデザインを体で覚えること

「手」で学ぶというのは、実際に自分で書いてみて、創ってみて自分の手と頭にデザインというものを覚えさせることです。
デッサンを何枚もし、絵を何枚も描いて描写力と観察力を養ったり、マウスとキーボードで何点もレイアウトやデザインを制作することです。
スポーツ選手が良く言う「体で覚える」というやつです。
これは理屈ではなく、デザインの能力を自分の潜在的な力として持つことで自然と生み出されるパフォーマンスを磨くこととなります。

「探求」と「発見」の違い

そして「目」で学ぶ。
これには大きく2通りあって「探求する」と言うことと「発見する」ということがあります。
「探求する」というのは掘り下げて調べることですからネットというデジタルな武器を最大限に活かし、効率よく、広く、深く、調べることです。最近の学生や経験の浅いデザイナーはデザインの勉強というとまずこの方法を思い浮かべます。手っ取り早く、世界中のデザインを見たような気になれるからです。そしてもう一つの「発見する」というのが本当は一番重要ではないかと私は思っています。
なぜなら、「探求する」ことは方法論がほとんど同じですから結果もほとんど同じようなものになります。みんなが同じサイトにアクセスし、同じキーワードで検索するのですから結果も同じようになって当然です。ところが「発見する」というのはきっかけや手段がばらばらでいつどんな風に発見するかという決まった形がありませんし、発見というのはそれぞれの持っているスキルや考え方によっても浮かんでくるものが違いますので、その人自身のオリジナリティーが表れます。

そう言う意味で「発見する」というのはデザインの勉強においてとても重要だと言えます。ただ、「発見」というのは勝手にいつでも起こるものではなく、「きっかけ」や「印象」が必要です。その「きっかけ」や「印象」を与えてやらないと「発見」は起こりません。

デザインの勉強と書籍

「発見」を起こす最善策は書籍を見ること

その最も良い方法が「書籍を見る」と言うことではないかと私は思っています。雑誌でも写真集でも作品集でもトレンド情報誌でも何でも良いのでデザインに関するものを片っ端から見てゆくのです。選ぶ基準は何でもかまいません。自分が興味のあるジャンルからでいいでしょう。とにかくたくさん見ることです。
書籍というのは調べ物をするという用途では正直ネットには適わないと思います。よほど絞ったテーマで奥深く調べると言うことがない限り、ネットの守備範囲には適いません。
しかし、書籍を見るというのは期待していない何かを発見できるというとてつもない素晴らしい偶然を産んでくれます。ネット検索のように自分の意図で掘り下げていくのではなく、次のページには何が書かれているのかわからないという偶然性があります。その偶然性こそが「発見」を産む大きなきっかけになると私は思っています。

デザインの勉強と書籍

ですから私の事務所では様々なジャンルの雑誌や書籍を少しでも多く集めるようにしています。
その年のトレンド情報誌や様々な作家の画集、写真集、技法書、作品集、海外のデザイン集など。
いつ役に立つのかもわからない書籍がどんどん増えていくので置き場所も大変ですが、そう言う偶然の発見を少しでも起こせるように、期待を込めて集めています。

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