デザイン業界の男女平等とは
先日、京都新聞に興味深い記事が出ていました。
文化芸術の各賞審査員や大学教員の男女比を調べた結果、大学の美術系学部で男性教授の割合が8割を超え、映画や演劇の審査員も男性が8割を占めるなど表現の現場におけるジェンダーバランスの構造的不均衡が鮮明になったという内容。
デザイン界ではもっと大きな問題
このような傾向は美術界に限って事ではなく、デザイン界でも同様の問題が起きています。
デザイン界の場合は学生と教授のバランスだけでなく、就職活動や企業内でも
男女の大きな不均衡が問題だと私は感じています。
近年では男女雇用機会均等法などの効果で男女間の格差がなくなってきたとはいうものの、現実にはまだまだ格差が問題視されていますが、
デザイン業界を目指す学生の就職活動では、一般職に比べさらにに大きな問題が存在します。
デザイン系の大学や専門学校の学生は、男女比が概ね2:8。
先程取り上げた京都新聞の記事では女子学生が72%と出ていましたが、この調査の主な対象は全国の有名4年制美大。
しかし、全国にまだまだ存在する美大、美短大、デザイン系専門学校などを合わせると、恐らくその数字は80%を超えると思われます。
男性の方がデザイナーになりやすい
現在では求人を出す場合に男女の限定や性別による人数の指定ができないことになっていますので、
企業は単純に何名という形で求人を出します。
一般的に考えて企業側は特別な事情がない限り、男性に対して女性を4倍も採用することは考えにくいので
その時点で男性が女性より4倍有利であると言えます。
中小企業の場合などは、男性を採用したいケースがまだまだ多いため、その傾向はさらに顕著になります。つまり女性はデザイン界に就職する上で大きな不利があり、男性は大きく有利だと言えます。
女性の方がデザイナーに向いている
私の経験上、デザイン系の学生は女性の方が優秀な学生が多く、向上心も旺盛でデザイナーとしても成功する可能性を持っていると思っています。
私は持論として、人間には男女の性別がある以上、職業にも向き不向きがあると思っています。
力仕事など身体能力がものをいう職業で男性に部があるように、女性の方が向いている職業がきっとあるはずです。
それが美的感覚を必要とする職業ではないかと思っています。
現に、世の中のファッションや美容のビジネスでは圧倒的に女性のシェアが高く、男性の比ではありません。
デザインという職業はその最たるものだといえ、それを目指す学生も圧倒的に女性が多いのがそれを証明しています。
そういう状況が就職戦線では全く考慮されていないのが大きな問題だと思っています。
さらに女性の場合は、結婚や出産でデザインという仕事を続けられないという状況が中小企業などはで依然として多いため、現場で40代以上の経験豊富な女性デザイナーが極端に少なく、特に印刷業界やWEB関連ではベテランデザイナーの男性比率が極端に高くなっています。
採用の時点で大きな不利があり、採用されてからも不利がある・・・。
これでは男女の平等など到底実現できることではないと私は思っています。
本来男性よりも適性があると思われる女性が、大きな不利を被っている状況、
デザイン業界はこのことをもっと真剣に考えるべきではないでしょうか。
私は、優秀な女性デザイナーを育てる手段を確立できたところが、長い目で見たときに勝ち残っていけるのではないかと思い、以前から積極的にその方法を模索しています。
(コイズミデザインファクトリーでは創業以来、代表の小泉以外は全員女性デザイナーです。)