2019.12.5

タダでやる?やらない?

コイズミデザインファクトリー会社案内
オレンジの色紙で鶴をたくさん折りました。

デザイナーやカメラマン、イラストレーターなどのいわゆるクリエイターの間でよく話題になるこの問題は、一般的にタダでやらせようとする方に否定的な意見が多いものです。

確かに知的生産物に対しての意識が低いのは、何十年も前から言われ続けていることでもあり、かなり改善されたとはいえ、まだまだ欧米に比べると低いことも間違いありません。

ただ、私はこの問題に関して、どちらかというとクリエイターサイドの意見に否定的です。

一般的な心理として、満足いくかどうかわからないものにお金を払いたくないのは、誰でも同じです。さらに、無料で配布されているものや、無料のキャンペーンなどに人が集まるのも当然です。

つまり、対象が一般商品であれ、クリエイティブであれ、ただのほうがいいと思う人は必ず存在します。発信側がそれをクリエイティブだと主張しても、それを受け手側がクリエイティブなものだと思っていない場合もありますし、そもそもクリエイティブというもの自体を理解していない場合も多々あるのです。

ただ、ここで問題になるのは、本当はお金を払うべきだとわかっているのに、自分の有利な立場を利用して、タダやそれに近いことを要求したり、もっともらしい理由をつけてタダでさせようとしたりするなど、確信的に仕事をタダでやらせようとする場合です。

それには概ねこういうケースが考えられます。

●採用するときだけ払うけれど、不採用のときはタダ
※無償のコンペもこれに含まれます。

●この案件の後には他にも仕事があるような印象をチラつかせてタダにさせようとする

●「君はまだまだ若いから、勉強のつもりで」などと師弟関係でもないのにタダでさせようとする。

●クライアント都合でその仕事が途中で頓挫しても、仕方がないからとそれまでの分を払わない。

他にもケースはあると思いますが概ねこのような理由で払わないということがありえます。

確かに理不尽で勝手な言い草です。

ただ、こういう人や企業はおそらく永遠に無くなりません。

こういうことがいろいろ問題視されるようになった最近でも、みなさんがよくよくご存知の大手企業や行政でさえこのようなことを平気でやっています。

もっとたちが悪いのは、そういうクライアントとクリエイターの間に入る道徳心のない代理店や印刷会社です。自分たちがクライアントに対し、プレゼンするものをクリエイターに対し無償でさせようとする事例はいつまでたってもなくなりません。

ここまで書いた内容では、クリエイター側にたった考え方のように思えますが、実は私の考え方はこうです。

「タダでやるクリエイターが悪い」

タダでやるクリエイターが存在する以上、それを求めるクライアントも必ず存在します。もっともっとクリエイター側が自分の仕事に自信とプライドを持てなければいつまでたってもこの状況に変化はありません。

自分の仕事に自信やプライドを持つというのはそんなに簡単なことではありませんが、その自信やプライドというのは相手が認めていなくても全く構いません。自分自身がその仕事に対してどれだけ真剣に取り組み、創造してきたかというのが「自信とプライド」です。

それを主張して仕事がなくなったとしたら、それがそのクリエイターの実力です。
実力が認められたクリエイターはそんなことを主張したからといって仕事がなくなったりしません。クライアントの方から無償でなどと言えなくなる状況が生まれるはずです。

「私はタダでなんか仕事はしません。」そうきっぱり言えるクリエイターを目指せばいいのです。

例外として自分のことを全く知らない相手に自分の方からプレゼンテーションをする場合があります。相手が要求していなくても自分としてその仕事を戦略的に取りに行きたい場合などがそうです。そういう能動的なものに関しては何も無償の仕事を否定するものではありません。つまり「能動的なタダ仕事はいいけれど、無理に言われるタダ仕事はダメ」ということです。

働き方改革が叫ばれる時代に、こんな原始的な問題が未だに取りざたされるのは、本当にレベルの低い話だと思いますが、私が声を大にして言いたいのは、「タダでなんか仕事を受けないレベルのクリエイターになれ!!」ということです。一生その仕事を続けたいのであれば、そのくらいの覚悟は絶対に必要だと思います。

働き方改革というのは何も時短や有給の話ばかりではないと思います。こういう意識の改革も立派な働き方改革と言えるのではないでしょうか。

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