MUDコラム「トリックアート?色覚の不思議」
皆さんは「トリックアート」や「錯視」を見たことがありますか?
回転しているように見える図や 斜めに見える文字列、
規模の大きなものでは、まるで落とし穴が空いているような床の絵や、
遠近感が狂う壁の絵が施されたフォトスポットも人気ですね!
どれも「目の錯覚」をうまく使って作られたものです。
視覚の不思議が体感できる面白いものですが、
実は日常生活にも「目の錯覚」は潜んでいます。
例えば、日常生活に関わりの多いものでは「色の錯覚」。
このりんごの写真を見てください。
このりんごは何色か尋ねるとほとんどの人が「赤」と答えます。
「青い背景や照明のせいで紫っぽく見えるけど、りんごだから赤だな」
と思うからです。
「青い壁の部屋に紫の果物がある」とは認識しないのです。
これを「恒常性錯視」といい、
過去の経験や知識から、目で見た色を脳で補正して認識することで
物の認知をスムーズにしています。
ところが「経験や知識」つまり「りんごは赤い」というような<前提>がない
色のものを、青っぽい照明や黄色っぽい照明の元で見たり、
色調の異なるパソコンの画面上で見たらどうでしょう?
照明や周りのもの、パソコンのディスプレイなどの影響に気付かず
「お店では黒だと思って買った洋服が外の自然光で見ると紺色だった!」
「通販で買った商品が思いの外明るい色合いだった!」
なんて経験…あるのではないでしょうか。
「恒常性」によって脳内で補正しないものは、
その時の環境下での影響を受けた状態「そのまま」で認識されます。
先ほどのりんごと違って、紫に見えれば当然「紫だ」と思うわけです。
この恒常性錯視について知っていれば、
無色の照明の場所で色を確認したり
洋服のタグや情報を見て色名を確認したりできますね。
そして、人とのコミュニケーションや仕事で
画像のやりとりなどをする時にも
「画像を見れば紺色と分かるだろう」と思わずに
「紺色」とひと言書き添えるだけで
無用なトラブルの回避もできますね!
これはほんの一例ですが、
正常色覚で様々な色の認識ができる人同士でも、
少しの配慮で情報共有がスムーズになります。
視力や色覚に違いがある人との情報共有にも活用できる
MUD<メディア・ユニバーサル・デザイン>をお手伝いできる
KDFの取り組みについて詳しくはリンク先の過去記事をご覧ください!
「メディア・ユニバーサル・デザイン(MUD)」