KDFの資料 26


トレンドはどこから来るのか?
— プロモスティルが日本のデザインに与えた影響 —
デザインの世界には、「流れ」があります。
それは突然生まれるものではなく、社会や文化の変化の中から少しずつ形を成し、やがてひとつの“トレンド”として現れてきます。
1980〜90年代、その流れを読み解く存在として、日本のデザイン界に大きな影響を与えたのが、フランスのトレンド予測機関であるPromostyl(プロモスティル)です。
当時の日本では、プロモスティルが発行するトレンドブックが、いわば「未来のデザインの指針」として扱われていました。色や素材、ライフスタイルの変化を分析し、「次に来るもの」を提示するその内容は、アパレルやテキスタイルの現場において、商品企画の出発点そのものになっていきます。
それまで日本のデザインは、どちらかといえば経験や感覚に依存する側面も強くありました。しかしこの時期を境に、「なぜこの色なのか」「なぜこのテーマなのか」といった背景を言語化し、論理的に組み立てるスタイルが広がっていきます。デザインは単なる表現ではなく、“戦略”として扱われるようになったのです。
一方で、同じトレンドブックを参照することで、似たようなデザインが市場に増えていくという現象も起こりました。流行を追うこと自体が目的化し、ブランドごとの個性が埋もれてしまう。そんな課題も、この時代には確かに存在していました。
そして現在。
この流れは、形を変えながらもデザインの現場に生き続けています。
コイズミデザインファクトリーの業務においても、トレンドを読む視点は重要な要素のひとつです。ただし、それは「流行をなぞる」ためのものではありません。むしろ、トレンドを一つの材料として捉え、クライアントごとの強みや背景と掛け合わせながら、独自のコンセプトへと落とし込むことが求められます。
たとえば、garafactoryのように豊富な柄のストックから提案を行う場合でも、単に「今っぽい柄」を選ぶだけでは意味がありません。どの市場に向けて、どのような文脈で使うのか。その設計こそが、デザインの価値を決定づけます。
プロモスティルがもたらしたのは、「トレンドを読む」という視点でした。
そして現代のデザインに求められているのは、それを「どう活かすか」という力です。
流れを知ることと、流れをつくること。
そのあいだにある思考こそが、これからのデザインにおいてますます重要になっていくのではないでしょうか。






